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  最近、農薬使用の規制が強化されたことをご存じですか?


1.農薬取締法の改正の背景

 2002年にダイホルタンなどの無登録農薬の使用が問題となり、調査の結果、無登録農薬が全国的に販売、使用されている実態が明らかとなりました。また、輸入野菜から基準値を超す農薬残留を示すものが相次いで見つかったことなどから、食品への安全性に対する懸念が消費者の間に広がりました。このため、 農薬の安全使用を確保するために、農薬取締法が改正され、農薬の販売、使用等についての規制が強化されました(平成15年6月に改正、平成15年7月1日に施行、一部は平成16年6月10日から施行されました)(埼玉県農林部農産物安全課HP:クリック)。

2.農薬取締法の改正点

 1)農業生産者(農家)が、未登録の農薬を使用した場合などに、罰則がかかるようになりました(3年以下の懲役、100万円以下の罰金、法人にあっては1億円以下の罰金)。改正前は、生産者が未登録農薬を使用しても罰則はかかりませんでした。

 2)農薬残留が問題とならない防除素材については、審議会で検討の上、特定農薬として扱われます。特定農薬に指定された資材は、
自由に使用することが出来ます。特定農薬としては、現在、同一都道府県内で採集された土着天敵、食酢、重曹が指定されています。

 3)登録農薬の少ない
マイナー作物については、経過措置として、都道府県知事の申請を通じて農林水産大臣が承認し利用が認められましたが、平成18年7月末をもってこの経過措置は打ち切られました。今後、マイナー作物に対する農薬登録は、作物のグループ化(似た作物をまとめて農薬登録をとる)、都道府県等が試験を協力して行う、助成措置を講ずるなどによって促進されることになりました。

3.食品衛生法の改正点

 平成15年5月30日に交付された食品衛生法で、農薬残留について基準値が定まっていない農薬の食物への残留基準値は一律に0.01ppmと定められました。これまでは、ある作物で残留基準値の定まっていない農薬が残留していても、市場に出回るのを抑える法的な根拠はありませんでした。今回の改正では、残留基準値の定まっていない農薬が残留していた場合には、一律に基準値がが0.01ppmと定められ、この値を超えた場合に販売禁止となります。このような制度をポジティブ制度と言います。ポジティブ制度の下では、航空散布や隣の田畑の防除に伴う薬剤のドリフト(飛散)によって農作物に農薬残留が生じた場合に、基準値が決まっていない薬剤の場合には0.01ppm (1kg当たり0.01mg)を超える残留が認められると販売停止になります。したがって、自分の田畑で使用する農薬の使用基準(登録農薬の使用、使用量、濃度、回数、使用時期)を守ることと、ドリフト対策が必要となります

4.農作物を生産する上での問題点

 1)マイナー作物では登録農薬が少ないことから、農薬使用が限定され、防除に難しさがあります。
 2)農薬の使用基準(農薬の種類、使用量、使用濃度、使用回数、使用期間)を厳密に守って防除を行うためには、従来以上のより高度な防除技術(農薬だけでなくいろいろな手段を組み入れた防除)が必要となります。


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